こんにちは。よるこです。
本記事では、コンセプト設計において「何かが足りない」「競合にはない、きわ立つコンセプトに仕上げたい」と思った時、
ぜひ参考にしたいアイデアのフックを5つ、厳選しました。
前回の記事でコンセプト設計の基本についてお話ししたので、まだの方はこちらから先にお読みください。
「売れっ子を量産するプロデューサーだけが知っている「特別な理由」の作り方」
自分でビジネスや発信活動を始めよう!と思う人が、まず最初にすべきはコンセプトを決めることです。
そして、情報の洪水状態がより一層加速する現代・近未来において、パッと目を引くコンセプトの重要性はより増していくでしょう。
しかし、一発で強い競合が不在の市場の空席を見つけるというのは、正直難易度が高いです。
熟練の経営者でさえ、新商品のリリース前にはテスト販売を何度も繰り返しながら、コンセプトや訴求方法を調整していくのです。
「本当に売れるのか」は、市場に出してみるまで誰も正解がわかりません。
ただ、初心者でも、コストをかけずリスクを負わずに「売れるコンセプト」を学べる方法があります。
それは、過去の事例や現在進行形のビジネスを調査して、エッセンスを吸収すること。これなら誰にでもできるはずです。(アイデア自体の丸パクリは下品なので推奨しません)
以下、世界観づくりが参考になる事例も合わせて、コンセプトを作るときに試してほしい5つの切り口を用意してみました。
「成功要因の本質、エッセンスは何だったのか」
「自分のサービスにアレンジして活かすとしたら」
このような視点で、早速みていきましょう。
①「呼び名」を変えるだけで、新世界が生まれる
ディズニーランドの世界を創る言葉
まず、世界観作りで最も有名なのが、ディズニーランドでしょう。
現実を忘れさせてくれる、「夢と魔法の王国」
園内にはゴミ一つ落ちておらず、
ミッキーは世界で一人だけなので他国で同時に出現することはない、という伝説まであるほどです。
そんなディズニーランドの世界観を作る要素として、「言葉」に注目してみましょう。
・従業員→「キャスト」と呼ばれます
・職場→「ステージ」と呼ばれます
・労働→「パフォーマンス」と呼ばれます
言葉一つ変えるだけで、アルバイトの労働が、ステージでのパフォーマンスになるのです。
この「言葉」による世界観があるだけで、キャストさん1人ひとりが物語を作る住人になりきります。モチベーションは変化し、結果として隅々まで行き届くサービスができるのもうなずけます。
スタバがアルバイトを”パートナー”と呼ぶ理由
喫茶店のことを、自宅でも職場でもない第三の場所「サードプレイス」称し
アルバイトのことを「パートナー」と呼びます。
”一人ひとりがスターバックスというブランドの体現者となる”意味が込められているそうです。
②真逆に「ひっくり返す」だけで、爆発的な変化が起きる
コンセプトづくり、切り口の2つ目は、常識と真逆、反対の発想をしてみることです。
過ぎ去るだけの場所が”集う場所”になったJR東日本の新事業
これまで駅は「通過する」だけの場所でしたが、JR東日本は「集う駅」として反対の場所にしてみようと試みました。
そうして生まれたのが、駅構内にあるショッピングエリア「エキュート」です。
ただ駅を明るくしよう、といった声かけだけでは、一大事業の原動力は生まれなかったのではと専門家は分析します。
「通過する駅」というネガティブな意味合いが、「集う駅」とひっくり返された逆転のコンセプトによって、JR東日本は新しいビジネスチャンスを見つけ出しました。
集う場所になることで、新たなマネーが落とされるキャッシュポイントが生まれるのです。
常識と真逆の女性用下着、その発想はなかった
これまで女性用下着は胸を大きく見せてナンボでしたが、
逆転の発想で新しいニーズを生み出したのがワコールの「胸を小さく見せるブラ」
実は、胸が大きいと服のサイズを上げないといけない、太って見えてしまうから小さく見せたい、という隠れたニーズが市場にはありました。
そこを上手く掘り起こしたのが、ワコールによる、常識とは反対の発想だったのです。
逆向きに走るジェットコースター
USJは2009年に上場廃止、その後震災により客足が遠のき、経営は危機的状況にありました。
そこで、マーケティング視点のテコ入れが入り、様々な施策の中で再熱に火をつけたのが「逆向きに走るジェットコースター」。
この新アトラクションは、もともとあったアトラクションとの組み合わせのため低コストで実現できたにもかかわらず、ただ発想をひっくり返しただけで大人気に。待ち時間9時間40分という国内記録を樹立したそうです。
③「喩える」だけで、遊び心と情緒が生まれる
”泊まれる公園”@沼津
泊まれる公園「INN THE PARK」は静岡県沼津市で30年以上にわたり愛されてきた「少年自然の家」を現代的にリノベーションしたまったく新しいタイプの複合宿泊施設です。
アウトドア好きの間で話題になった泊まれる公園。
なんと、元々は経営難で赤字続きだった「少年自然の家」。
誰か何なんとかして欲しいと、市がSOSを出していた土地・施設でした。
コンセプトひとつで、こんなにキャッチーで人を集めるお宝に大変身です。
「遊べる本屋」
ヴィレッジヴァンガードも、「遊べる本屋」というフレーズで独特な世界観を作り込むことで、本を読まない人でも思わず入りたくなる真新しい本屋を生み出しました。
思わず目を引く黄色いPOPが、濃い世界観を作っています。
④全く異なるものを「くっつける」だけで、平凡がハイセンスになる
どうしてもギャップにやられやすい人間の習性を捉えた大ヒットドラマ
「正義」の象徴である教師と、「悪」の象徴である極道のギャップが人々の好奇心を誘い、一躍大ブームになったドラマ「ごくせん」
予測のつかない、予定不調和なストーリーが観客を惹きつけます。
また、とある1本のYoutube動画は
ペンと、パイナップルと、リンゴをくっつただけで、1億回再生越え。
あのジャスティンビーバーも「お気に入りだ」と公言するほど、世界的ヒットを巻き起こしました。
⑤時間・季節・場所を「ずらす」だけで、未開拓ニーズを発掘できる
飽和状態スイーツ市場の”夜”に風穴をあけた
”夜だけ営業するアイス屋さん”というコンセプトが話題になった「21時にアイス」
「ディナーでお腹いっぱいの後、帰りにちょこっとだけ甘いアイスを食べたい」というニーズを掘り起こしました。
インスタグラムの世界観作りも参考になります。
お客さんが、メニューではなくインスタの画面を見せて「これください」と来られるほど、”実店舗×SNS集客”で成功し全国にフランチャイズで広がっている事例です。
「冬よりも夏に稼ぐスキー場」が激白した裏側
スキー場として有名な白馬は、もともと夏には閑古鳥が鳴き、冬の少雪が続くと経営は大ピンチ。
なんとか夏にも集客できないかと、アクティビティ施設を作ったりと、様々な施策を打ちます。
努力の結果、スノーピークとのコラボや、まるでアルプスの少女ハイジの世界のような巨大なヤッホーブランコが大ヒットし、「冬よりも夏に稼ぐスキー場」が誕生しました。
「隠れた資産を見つけ出し、磨き上げること」
大ヒットの裏側を綴った書籍にも書かれたメッセージですが、眠っている金の卵を見つけ出し、”売れるコンセプト”誕生までの超具体的なステップが余すことなく綴られていて非常に参考になる良書です。
・マイナスからの大ヒットの作り方
・希望が見えない時のチームの動かし方
・ピンチの中で、チャンスを掴むための適切なコストの掛け方
・無名でも強い企業や最高のパートナーの力を借りる技とロジック
・「小さい球を矢継ぎ早に打つ」など、プロモーションへの取り組み方
どんな仕事でも、逆境を乗り越えなければならないピンチは必ず訪れます。
これから起業を考えているような人には尚更です。
そんな時このリアルすぎるくらいの実録は、
土壇場を乗り越えて大きな成功と成長を掴みたい人に、必ず役に立ち具体的な道しるべを示す指南書になるでしょう。
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また、ずらすのは時間や季節、場所だけでなく、
リアルとネットの空間でも可能です。
書店をネットにずらしたのがKindle、会議室をネットにずらしたのがzoomなど
現在普及しているサービスもイノベーションの原点から着目してみると、着想が得られるかもしれません。
まとめ
①呼び名を変えてみる
呼び方ひとつで、世界観が一気に深まり、従業員のモチベーションやサービスの隅々の洗練度合いがグッと深まりました。
②常識の真逆にひっくり返してみる
ただ反対にひっくり返すだけで、ネガティブな弱みもポジティブな強みに、発想の転換で新アイデアができました。
③別のものに喩えてみる
ただの本屋、ただのホテル、ただの〇〇では選ばれる理由にはなれません。
しかし、「どんな〇〇?」と喩えることで一気に世界観が生まれ、
これまで興味がなかった人の注目まで惹きつける強いコンセプトに生まれ変わりました。
④全く異なるものをくっつける
平凡なありきたりも、くっつけるモノ同士の「ギャップ」が人の好奇心をくすぐり、ブームを巻き起こす強烈さを作りました。
⑤ずらしてみる
時間、場所、季節、空間、
部分的にずらしてみるだけで、これまでなかった新ニーズの発掘ができました。
これまで満たされていなかった市場の需要を上手く突けると、ポテンシャルしかない急成長市場の爆誕です。
以上、逆境からでも人気爆発を狙える5つの「売れる」モデルに隠されたアイデアの源でした。
【参考書籍】「未来は言葉でつくられる」
本記事で紹介した事例以外にも、世界中のビジネスやブランドからコンセプトや世界観作りをより具体的に学びたい!という方には必読書と言っても過言でないほどの良書です。
「見たこともない風景には、言葉が最初にたどり着く」
目に見えない理念やビジョンをクリエイトする手段としての”言葉”に注目し、0から1を生み出す具体的なステップまで詳細に書かれた本です。
ボリュームはそこまでなくて読みやすいのに、全ての章に新しい発見があるほどの情報密度は、プロのエッセンスだけをこの一冊に相当凝縮してくれた著者と編集の神業。
世界観をより磨き上げ、お客様にさらに魅力的な未来を提案し、売れ続け愛され続けるビジネスを成功させたいのなら、本書に書いてあることを実践しながら更なるスキルと成長を得ることをおすすめします。